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lost&safe Blog

音楽とコミックのレビューブログ

Shiggy Jr. 「Listen to The Music」

 

LISTEN TO THE MUSIC

LISTEN TO THE MUSIC

 

 

東京の4人組バンドの2ndミニアルバム。お洒落なジャケットは江口寿史のイラスト。メンバーはずいぶんと若そうなのに、どうやって知り合ったのだろうか。

90年代中盤から前半を思わせる煌びやかなリードトラック「Listen To The Music」から、ポリシックスよろしくなエレクトロパンク「oyasumi」に、VO.池田ののびのびとした歌声が光る「Baby I Love You」はどことなくYUKIを思わせる秀逸なミドルバラード。フロア向けのフレッシュな「J-POP」集にメンバーの趣向が背後に透けて見えるのが面白い。

そんなキラキラとしたサウンドの一方で、そこに乗る言葉は思いのほか内向きだ。

 

「 街中に響いてる音の塊みたい ヘッドフォンに流れる 音楽に身をゆだねたい / 右も左もわからないけど そんなことは当たり前だし 人ごみも好きになれそうにない」

「暗いフロアのビートが無意識に伝わる 言葉にしなくてもいい 想いが溢れてる / つまらない日々は ゴミ箱に捨てた 手の平に握った 希望だけ残してた 渇いた喉を潤すだけ それだけを求めてた」

 

繰り返される憂鬱でセピアな日々、それに彩りや新鮮さを加えてくれるのがヘッドフォンやフロアから聴こえるミュージックだ、というレトリックは決して物珍しいものではない。それをレコードショップの言葉を借りればノーミュージック・ノーライフと呼ぶかもしれないし、あるいは錯覚なのかもしれないが、音楽が好きなら一度はその感情を持ったことがある人は多いだろう。しかしそうした「音楽好きならありふれている」感情を乗せる媒介が、J-POP(もちろんそれだけではないだろうけれど)になっているのが最新のモデルだ。

ピート・シーガーボブ・ディランを背景にしたフォークからの派生である「ニューミュージック」を発展させ、より日本独自に根付いた音楽を目指す「J-POP」という言葉の誕生からすでに25年近く。オザケンスピッツ、あるいは小室哲哉つんく♂まで……まあ、挙げればキリがないだろう。J-POPは実際に根付き、Shiggy Jr.ら若い世代にとって、よりよい原体験として耳に馴染んでいる。そして、彼らと同じようにJ-POPで育った人にとって、フロアミュージックであるはずのこのアルバムはただ楽しいだけではなく感情を揺らす作品になっている。形は変えれど、いつだってアンセムは生まれるし、必要とする人がいる。まあ、いいことなんじゃないだろうか。

 


Shiggy Jr. / LISTEN TO THE MUSIC - YouTube