lost&safe Blog

音楽とコミックのレビューブログ

【Oversea】2015 Jan.〜April.の印象的なアルバムたち

1月からここまで出た海外作品で印象的だったものを短評付きで並べていきます。(随時更新)

洋楽は今年に入って本格復帰で、聴くアルバムや聴き方も意識的に変えてます。英語わからない問題をどう乗り越えていくかがテーマです…。

 

Entanglement

Entanglement

 

「シャーロック」をはじめとしたドラマの劇判を主戦場とするアメリカの作曲家によるオリジナル・アルバム。ピアノの清涼な響きと歪みなく広がっていく弦楽器の調べに、エコーがかったエレクトロ編集が効果的に重なっていくスケール感のあるポストクラシカルサウンドに仕上がっている。繊細なピアノ曲から重みのあるマイナー調の曲へと徐々に移っていくアルバムの作りで、頭からラストまで飽きずに聴くことができる。音と音の隙間の静寂すら身に沁みる、その密度と完成度。アンビエントやポストクラシカルを聴く私たちが望んでやまない、極上のインストゥルメンタル・アルバムだ。


Michael Price - Entanglement (Video Teaser) - YouTube

 

Solo

Solo

 

ドイツのピアノ演奏家が、毎年の88番目にあたる日を”Piano Day”とし、それに合わせて発売した新作。また、友人の活動へのチャリティという意味合いも含まれた作品で、個人的な感傷が込められていた過去作に比べてより開かれた印象を受ける。印象派を思わせる繊細な作品から、ハードなミニマル調のものまで、ときに美しい旋律を、ときにリズムを刻み、ピアノ演奏の様々な側面を表情豊かに詰め込んでいる。それを鳴らすのが健康体に戻った当代きってのマイスター、ニルス・フラームとくれば、ピアノの魅力を心おきなく堪能できるわけである。傑作。

Nils Frahm - Some by Erased Tapes Records - Listen to music

 

Epitaph

Epitaph

 

日本とも関わりが深いOrange Milkが送り出すニューエストモデル。時にリズミカルに、時にアンビエントに、電子音楽が聴き手の身体を無軌道かつ自由に行き来する。個性派レーベルに所属するジャンルレスなサウンドながらも、乱暴な印象はなく、むしろ伸びやかに渦を巻くエレクトロサウンドにうっとりと惹き込まれる。アートワークを含めてスカムなイメージが強いインターネットミュージックだが、ここまで美意識の高いものが出てくるのには驚いた。おおらかかつ端正で、隙のない逸品。

Nico Niquo - Pandimension by Orange Milk Records - Listen to music

 

A Year With 13 Moons

A Year With 13 Moons

 

ここしばらくはカセットやデジタルでの活動が中心だったアメリカの電子音楽家のフルレングス。コンクレート!アンビエント!ドローン!シューゲイザー!キャンパス一面に絵の具を塗りたくったノイズの濃厚さに酔いしれる作品ながらも、最後に微妙な後味の悪さを残すのに趣がある。ピエール・ヘンリーからフェネスまで、過去から現在までを遡り1枚のアルバムに詰め込み、混ぜ合わせ、その濁流に身を投げ出す、殉教者の電子音楽


Jefre Cantu-Ledesma - Pale Flower [Official Audio ...

 

Asunder, Sweet & Other Distres

Asunder, Sweet & Other Distres

 

復活後、ハイペースでの新作。冒頭の「Peasantry or ‘Light! Inside of Light!’」のキャッチーさは驚きの一言。過去最もポップな作品になったのかと頭によぎるが、以降の楽曲はいつも通り、いやこれまで以上にアヴァンギャルドなノイズの海。長いフラストレーションののち、最終曲「Piss Crowns Are Trebled」で爆発するエクスタシー!分け入っても分け入ってもGY!BE。前作の祝祭的緊張感を経て、GY!BEの爆音が鳴る風景にリアリティが戻った、真の意味での「復活作」。


Godspeed You! Black Emperor - Piss Crowns Are ...

 

http://media.tumblr.com/afe4af7d370765dc52c16e54cd843675/tumblr_inline_niufaph6s11sv2bui.jpg

 GOFTY / Cake Mix

積極的なリリースで注目を集めるバブルガム・ベースの本舗、PCミュージックの人気選手・Girl Friend Of The Yearの新作6曲入りミックス。ジャクソン5をはじめとしたオールディーズ・ポップスをジャンクな電子音で愛らしくもメランコリックにはじけさせる、そんなバブルガムベースの出来ることを11分というコンパクトなサイズで表情豊かに纏めた快作。きっとこれからもっと多くの人の心をわし掴みにする、極上にしてジャンクな、愛らしいエレクトロポップス。

GFOTY - Cake Mix by PC Music ♩ - Listen to music

 

Vulnicura

Vulnicura

 

4年ぶりの新作は愛を失った女王の叫びと嘆き。話題を集めたアルカとハクサンクロークの参加でエレクトロに舵を取った変化が予測されるなか、出来上がったのはこれまでのビヨークをさらに生々しくした、重く、傷跡を晒すようなサウンド。長年連れ添った伴侶と別れたビヨークのメランコリアが作品を包んでいる。アントニー・ハガディとのデュエット曲「Atom Dance」がハイライトになっているのもあって、コラボ相手としては陰が薄くなってしまったアルカだが、今回は得意とするサウンドを時折に顔を出すスパイス程度に留めてバランス役に徹することで作品の仕上がりを支えている。全ては女王の御心のままに。


björk: lionsong - YouTube

 

http://media.npr.org/assets/img/2015/01/16/10854176_857173737657507_7212666246288769019_o_sq-33f2f09e2bc08615c9b7b1fbbc069d805e9f4c34-s1100-c15.jpg

 Levon Vincent / Levon Vincent

20年近いキャリアを持つニューヨークのDJ/トラックメーカーの初のフルレングスは、ジャンル横断的でありながらも、メロドラマティックな展開を排除し、低熱を保ちながら上昇していくハウスミュージック。そのなかでも「For Mona, My Beloved Cat / Rest in Peace」のスピリチュアルなメランコリアと「Small Whole-Numbered Ratios」のストイックなミニマリズムには、レフトフィールドに生きる男の熟練の業と美意識が詰まっている。デトロイトと場所は違えど、同じ時代に生きたテクノはまだまだ力強く息づいていることを実感する。よりディープに。


Levon Vincent - Anti-Corporate Music - YouTube