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音楽とコミックのレビューブログ

シャムキャッツ「Take Care」

 

TAKE CARE

TAKE CARE

 

 昨年発表の傑作「AFTER HOURS」の流れを汲むミニアルバム。

若者と、若者から大人へと向かう狭間にいる青年たちの日常とその機微をユーモラスかつメランコリックに描き(そして、同時に「その繊細な機微は喪われつつあるものだ」という目線が込められている)、以前からのリスナーだけではなく各種メディアから、おおむね絶賛という評価を勝ち取った前作の続編ともいえる……。いや、これは正しくは「AFTER HOURS」を5曲に絞り込み、コンパクトに纏めたアップデートバージョンと呼ぶべきだ。

「AFTER HOURS」と本作を聴き比べて、なによりも興味を惹かれたのはサウンドの統一性だ。今回の5曲はネオアコというテーマのもとひとつにまとまっている。「たからじま」までのやんちゃで無軌道なシャムキャッツを残した「AFTER HOURS」に比べて、「Take Care」のサウンドはよりコントロールされ、洗練されているのだ。前作においてネオアコという要素はあくまで参照の一部である。しかし「AFTER HOURS」で作り上げた(=評価を得た)世界を5曲に絞って生み出そうとするうえで、最大公約数として選ばれたのがこのネオアコ・サウンドなのだろう。「Girl At The Busstop」は「MODELS」や「渚」など彼らがこれまで作り上げた代表作と同じくらい記憶に残るメロディを持ち、「KISS」や「choke」はベルセバも顔負けのユーモアとペーソスを持ち合わせている。そして、前作からここまで取り上げてきたテーマを総体的に描いた美しいバラード「Windless Day」は、今の彼らのハイライトともいえる。

歌詞についても触れておきたい。本作では幸せと崩壊が隣り合わせのギリギリの生活を過ごすカップルに対して、最終的に「ここではないどこかへ行かなければいけない」と決断させる「MODELS」の頭を殴られるような目線は後退している。そう、前作にあったハッとするほどのドラマツルギーが今作では薄れているのだ。その代わりに、本作からは、たとえ物語が壊れても、喪なわれても、日常は続いていくという物寂しさをより一層に感じさせる。風が止まった町で、シャムキャッツはこれからなにを歌うのか。ここに留まるのか、外の世界へ飛び出していくのか。今作は「AFTER HOURS」に一区切りをつけるための作品であり、過去と未来を繋ぐためのハブになるのだろう。

 


シャムキャッツ - GIRL AT THE BUS STOP - YouTube