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lost&safe Blog

音楽とコミックのレビューブログ

その他の短編ズ「13」

2015 newdisc

 

13

13

 

 

福岡から京都に移住した2人組みの女性ユニットのよるフルアルバム。

シンプルで起伏の少ないローファイで単調なサウンド。ざらざらとしたアコースティックギターの音とリズムマシーン、ときどき気の抜けたシンセサウンドで構成されている。逆にいうとそれ以外はその場で思いついた言葉をぼそぼそと呟き続けるような2人のけだるい歌声しかない。そして、その歌声は聞き分けるにはそれだけで労力がいるくらい似ている。しかし、いや、だからこそ、2人のリズムは決定的にどこか息が合わず、居心地が悪い。みんなで集まって考えても答えは出ない。優しいB-BOYになりたいと思うがこれから特になれる予定もない。あなたのことを思い出したけど、その時点でもうどうでもよくなっている。後輩カップルの理解に苦しいコミュニケーションに不快感を覚えるが、今日はパーティなので思うだけに留めておく。1曲1曲は端的かつ短く、その態度は常に引っ込み事案で怠惰だ。無気力といってもいい。そのくせ、歌わずにはいられなくなる。そこに表現としての毒毒しさや怒りはなく、戸惑いのみを感じさせる。

 「混乱させてほしいよ / あの秘密について知りたいの / なんでもわかりやすすぎて / 誰でも優しすぎるから」

彼女たちはその戸惑いのなかにどこか学校の道徳で習うような「理想とされるもの」からズれてしまった世界の壊れた部分を暴くための秘密があると考えているのかもしれない。その一方で、単調なメロディと不穏な電子音は「その秘密を暴けば全てがからっぽになり、私たちの日常は食い散らかされて何も残らないのではないか?」というどこか不安な気持ちにもさせられる。

しかし、結局は彼女たちが実際には何を歌っているのかはよく分からないまま平坦にアルバムは終わる。難しいことは何もなく、ただのサブカルかもしれない。しかし、ただのサブカルとして聞き流すにはあまりにも不安定で、スキゾで、胸の奥がささくれだすスリリングな一品なのは間違いない。

 


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